池田義博 記憶工学研究所所長/世界記憶力グランドマスター
「記憶力グランドマスターってなに?」――よく聞かれます。 具体的には、世界記憶力選手権で次の 3 つの条件をクリアした者だけに与えられ る称号です。
- シャッフルした 1 組のトランプの順番を 2 分以内に記憶できること
- シャッフルしたトランプの順番を 1 時間で 10 組以上記憶できること
- ランダムに並んだ数字を 1 時間で 1000 桁以上記憶できること
日本記憶力選手権でも6回続けて優勝し「記憶力日本一」になっています。
これだけを見ると、なにか特殊な(異常な?)能力があるかのように思われるかもしれません。しかし実際は、脳の使い方をマスターすることで、誰でもある程度まではできるようになります。
私自身、こうした技術を身に着けたのは 40 歳を過ぎてからで、それまではごく普 通の記憶力でした。
記憶力の頂点に立って分かったのは、脳力・頭の良さを左右するのは生まれ持っ た才能よりも、「脳の使い方」と「脳の鍛え方」だということです。
この2つをマスターすれば誰でも――子供でも高齢者でも――驚異的な記憶力・ 脳力を発揮できます。
こうしたことをより深く、科学的、実践的に研究し、普及させるために、2021 年、 私は「一般社団法人記憶工学研究所」を創設し、「IP記憶法」 を開発しました。
詳細は、各公式サイトを御覧ください。
記憶法を学んだ方・挫折してしまった方へ
記憶法を既に学んだという方もたくさんいらっしゃるでしょう。それが科学理論に基づいたものであれば、きっと自分の記憶力の向上に驚き、感動されたことと思います。
ところがしばらくすると、せっかく覚えた技術も使いこなせないまま、当初の感動は薄れてしまったという話も耳にします。
記憶法を極めた一人として申し上げたいのは、みなさんがマスターした技術は決してムダではないということ。メソッドによって差はありますが、基礎的な脳力はまちがいなく大幅に向上しているはずです。あとは、それをどう使いこなすか、そしてその脳力をどうやって維持し、より向上させていくか、という問題です。
そのためには、運動能力や楽器等の演奏技術と同様、継続的なトレーニング、メンテナンスが必要です。
そうした観点から、記憶工学研究所では「本当の意味で実用的な記憶法」の研究が重要なテーマとなっています。
池田義博